今月15日、東洋経済記者の取材により、ソフトバンクの経営方針に対して批判が集まっています。
本部から店舗への圧力というとセブンイレブンの問題が記憶に新しいですが、ソフトバンクも例外ではなかったようです。
本記事では、問題の内容についてまとめています。
問題の経緯
簡単に説明すると以下の通りです。
ソフトバンク側にある問題点
問題点としては以下の2つが上げられます。
評価基準に顧客満足度がない
ソフトバンクの携帯販売店はさまざまな項目で採点され、S、A、B、C、Dの5段階でランク分けされている。その評価に、客からの評判はあまり関係ない。他社からの乗り換えをどれだけ取れたかなどに加え、ソフトバンクが売りたい大容量のデータ通信プランや有料オプションにユーザーをどれだけ加入させたかで評価点が決まってくる。
直近6カ月間に店舗評価Dが3回以上だと「低評価店舗」とみなされる(Cが2回でDが1回とカウント)。そして、翌々月をメドにソフトバンクが「商流変更・閉店を勧告」するというもの。
例えば、2020年2月にある販売店の評価がDとなり、直近6カ月で3回目となって低評価店舗に認定されたとしよう。その場合、2カ月後に「商流変更・閉店」の勧告を受け、以下のように2020年10月末までが「閉店猶予期間」となり、店をたたむことを強いられる(新店や移転後1年以内の店舗などは、低評価店舗施策の対象外になる)。
※流通変更:別のオーナーの店にスマホなどを卸す変更
※オーナーチェンジ:店舗運営のオーナーが変わる出典:東洋経済オンライン
もちろん慈善事業でやっているわけではないので、成績を重視するというのはよくわかります。
しかし、その結果に繋がる要因の一つとして、ユーザーの声というのは無視すべきではありませんよね。
実際、私も以前はソフトバンクユーザーでしたが、販売店の対応があまりにも悪かったことから2年の契約期間満了を待ってすぐに他社に乗り換えています。
こういった評価基準だったのであれば、あの対応の仕方も当然だよなと今になって腑に落ちましたけどね。
契約が一方的に変更されている(法律違反をしている)
関係者によると、この運用が始まったのは2016年から。販売店に対して定期的に配布されている店舗施策の資料に新たなルールとして盛り込まれたという。問題は、この閉店ルールが販売店のオーナー側との合意なしに一方的に導入されたことだ。ある大手販売店の幹部は「ソフトバンクの施策変更は、(現在の)強制閉店ルールも含めて事前通告や相談はまったくない。いつもいきなりで、合意もない」と証言する。
ソフトバンクと販売店オーナーが合意して取り交わす「代理店委託契約書」にはこの「商流変更・閉店ルール」は明記されていない。同契約書71条には「甲から契約解除ができるのは委託業務の履行実績が一定の期間を通じて不振である等相当の理由があると甲が判断する場合、1カ月以上前に予告することによって契約を解除できる」と書かれている。「甲」とはソフトバンクのことだが、何をもって「一定の期間を通じて不振」とみなすのかは記されていない。
出典:東洋経済オンライン
構図からすればソフトバンクと販売店の関係には上下関係がありますし、それは仕方ないことなのかもしれません。
しかし、契約という観点からすれば双方の立場は平等です。
途中で契約変更をするのであれば、相手方の同意を得なければいけないのは当然の事。にもかかわらず、ソフトバンクは自身の優位性を笠に一方的な契約変更をしているわけです。
フランチャイズ問題に詳しい中村昌典弁護士は、「契約内容を変更するなら変更合意書が必要だが、それがないのは問題だ。これほどあからさまな優越的地位の濫用はほかに例がない。民法の一般条項に反しており、公序良俗違反、信義則違反、権利の濫用にあたる」と指摘する。
出典:東洋経済オンライン
ソフトバンク側の回答
この件に対し、ソフトバンクは以下のように回答しています。
「機密事項や営業戦略に関わるため、各種資料や質問状に記載いただいた内容について、事実関係の有無を問わず、詳細のご説明は差し控えさせていただきます。なお、本件に関わらず各種施策は、社内弁護士や顧問法律事務所に確認のうえ実施しています」
「店舗の閉店につきましては、一方的に行うものではなく、当社と店舗側との協議のうえで進めさせていただいています」
出典:東洋経済オンライン
当該行為は法律上問題ないし、しっかり販売店側と協議した上で決定しているとのことです。
もっとも、報道で出ているソフトバンクとオーナーとの会話記録によれば、どう考えてもしっかり協議しているようには見えないんですよね。
ソフトバンク担当部長:店舗評価Dを6カ月で3回取った低評価店舗は、勧告してから期限までに商流変更できなければショップコード(店舗ごとの識別コード)が停止になって、運営自体が終了になってしまいます。今から半年後以降の運営はできません。
携帯電話販売店オーナー:要は店を強制で閉めろ、店を他のオーナーに売れということでしょうか?
ソフトバンク担当部長:そうですね。原則オーナーチェンジの形になります。
携帯電話販売店オーナー:(その店舗で)利益が出ているのに売れと言うのですか?
ソフトバンク担当部長:まあ、そうですね。ソフトバンクショップ事業から勇気ある撤退をしていただいて、違う事業に専念いただいたほうが御社にとって先が見えるのではないでしょうか。
出典:東洋経済オンライン
そもそも、ユーザーの声をほとんど考慮せず、業績だけを重視するという評価基準が間違っていますし、それをオーナーの同意なく導入するのは論外です。
CMで人気のあるタレントを起用し、莫大な資金を投入している余裕があるなら、それを事業資金に回して少しでもオーナーが結果を出しやすい環境づくりをして欲しいものですね。
報道によれば特段問題視していないようですし、制度の変更をするつもりもないようなので、今後ソフトバンクがどういった道をたどるのか、引き続きチェックしていきたいと思います。
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